私のシステムで唯一残ったカールホーンです。
震災後、泥だらけだったのを洗浄してこれまで保管していました。全体に傷だらけで満身創痍状態ですが、音道は歪みも傷も無いので修理すれば使えそうです。流失したハークネスの音道コピーのバックロードホーンは良く鳴ったのですが、小音量再生時の低音に少々不満があり、それを解決するにはどういう構造の箱を造れば良いのか? 震災前からいつも考えていました。今現在の構想はこのカールホーンを修理し、10cm前後のフルレンジユニットを取付けて鳴らして見て、その音を参考にメインスピーカーの構造を考えようと思っています。このカールホーンは音道の入口辺りを手で叩くと、開口部からは感じの良い低音が出ます。オーディオ復活への第一歩としてカールホーンの修理から始めます。
まずは現状をご覧ください。突板はあちこちで剥がれ、表面は大きなダメージを負っています。
角がこすれた感じで無くなっています。
突板はこのように何ケ所も剥離していますが、この修理はアイロン一台あればそんなに難しくはないと思います。
フィルターに使っていたオイルブロックコンデンサーの端子部でも衝突したのでしょうか?これはどういう風に直すか悩み所です。
こちらは合板まで剥離しています。
設置台の根本にひび割れを見つけたのですが、よく見てみるとそのひび割れは周囲を一周していたので、左右に煽りながら引っ張り上げると
ご覧のように支柱に台の一部がくっついたまま抜けてきました。・・・絶句
ホゾ長は50mm程できつめに接合してあるので、ホゾ穴との隙間はありません。この台は他に大きな傷は無く、上部の左右同士も支持枠で
ボルト固定されています。どういう力が加わればこのような壊れ方をするのでしょうか? 謎です。
2013/10/10
2013/10/30
カールホーン進捗状況
突板の剥離はアイロンで再接着できましたが、ヒビが目立つので何とかしなくては・・・
ダメージの大きい部分はパテ埋めしました。この後、ペーパー掛けして着色と木目を再生させて全体に塗装する予定です。ユニットは無難なところでフォステクスにしました。FE103ENです。F0:83Hz Qts:0.33Mms:2.55 出力音圧レベル:89dB 10cm 8Ω バックロード向きのダンピングの効いたユニットだと思いますが、このホーンのドライバーとしては???
QtsとMmsが大きいと、ボーボーとした締りの無い音になりかねないと思い、このユニットにしたのですが、どうなりますか・・・
取付用のスロートアダプターとバックチャンバーを作らなければなりません。
旋盤削り出し その2
バックチャンバー内側です。
旋盤削り出し その1
バックチャンバー外側です。
バンドソーで切り出します。杉より柔らかいのでは?と思えるくらい切削性が良好です。
カールホーン・フォステクスユニット取付アダプター製作
これからいろいろと製作するにあたり、ケヤキを主体とした桜、栗などの材を一山いくらで購入したのですが、その中に椹(さわら)が入っていました。桧に似た木目で板塀などに適材として使われる木です。芯持ち材であまり良い材ではありませんが、他に使用用途も無く、試しにこの材でアダプターを作って見ます。
2014/2/11
加工終了。 右側がバックチャンバーで左側がスロートアダプターです。この面にユニットを取付け、バックチャンバーを取付けます。
2014/2/5〜2/7
カールホーン・ツィーター取付台製作
津波で流された作業場の中にカリン材が残っていました。同場所に保管していたケヤキは作業場の屋根にまで打ち上げられたのですがこれは水に沈むほど重い材なので、さすがに耐え切ったのでしょう。他にもう一枚、長尺物のカリンと朴(ほお)が瓦礫と共に埋もれていたのを工場が完成するまで北面の軒下に置いてたのですが、2年以上の間、わずかでも直射日光を受け、雨ざらしだったためか表面には無数のひび割れが入ってしまいました。場所によっては10mm以上の深さで亀裂が走り、もはや厚物材としてはほとんど使えません。この材から小割材を取り、カールホーンに取り付けるツィーターの台を製作します。

イメージとしてはこんな感じです。開口下部付近に前後位相をスライドして調整出来るように作り、下部に075、上部にSH-1800を取付け、更に上下角も調整出来るように製作します。
長さ930mm、幅は木表300mm、木裏450mm厚さ120mmほどの材です。この大きさで約50kg近い重量があります。新調した14"バンドソー(ラグナ社:アメリカ)は最大挽き割り高さが355mmもあり、3馬力のパワフルなモーターでこんなに硬いカリン材の厚物加工も何の事はありません。。バンドソーに関しては欧米の方が進んでいるようです。25mm幅のブレードで挽き割りでも、このような曲面加工でも楽に出来るし、更に多数の幅のブレードを備えているので、ジグソーや糸鋸盤のような加工を桁違いのスピードでこなします。
加工はほぼ終了しました。一台分で14のパーツがあります。カリンの赤一色では面白味が無いので、亀裂を避けながら辺材部分をうまく活用するために、木取りは結構悩みました。
075とSH-1800の微妙な前後位相調整用に、上下取付板を中央手前のボルトを中心点にして前後に50mm程度傾けられるように作りました。調整後は後部のボルトを締めれば動かなくます。
スライドベースを奥で支持枠にボルト固定します。以前からの懸念事項であった支持枠とホーンの完全固定もこれで完了です。更にスライドアームを作り、180mm以内で可動できるようにして中低域との前後位相を調整します。予備にもう1セット、アームを作ったので最大で320mmの前後位相調整が可能です。スライドベース、アームは全てホーンカーブに合わせて曲面加工してあるので、どの位置で固定してもツィーター上下取付板底面とホーンの間に隙間が出来たり、きつくなったりするような事はありません。
2014/3/10
塗 装
昨年10月から始めた修理もやっと最終工程の塗装まで進みました。同時に修理と製作を進めてたラック、ツィーター取付台の塗装から始め、カールホーンはパテ埋めで消えてしまった木目を手書きで再生して仕上げ塗装しました。パッと見はほとんど分からないと思います。このまま10〜14日程の乾燥期間を置いてから部屋へ入れる予定ですが、今回はF4規格の二液性ウレタン塗料を使用したので、マスク無しでも頭痛や頭のふらつきなどは起こらず、前回のように完全な硬化を待たなくても大丈夫かも知れません。

2014/3/31
搬 入・設 置
少し早いですが、さすがのF4規格塗料、身体には何も障害が出ないので部屋へ入れる事にしました。
あの泥まみれで全身傷だらけだったカールホーン、当時はこのホーンから再び音楽が流れるような環境へ
戻れるのだろうか? と全く先が見えない状況でしたが、少し進化して蘇りました。
修理を手掛けてから5ケ月、長かったです。
10cmフルレンジユニットをスロートアダプターへ取り付けます。
ホーン側からユニットを見るとこんな感じです。
ツィーターは取付けず、この状態で聴いて見ました。梱包箱をエンクロージャー代わりにしてた時と違い低音も出てメリハリのある音ですが、高音はさすがに減衰しています。試しにコンデンサーを入れ低域カットして見ると、これが何とも清々しい中域が出てきます。
???たかだか10cmのフルレンジ・ダイレクトラジエータ―からこんな中域が? なかなか侮れないユニットですね。
075の台はバックキャビのテーパーに合わせて削り出しました。075の重心が中央より後ろにあるため、ストレートに削ると傾いてしまいます。SH1800の台は、より075と接近させるために底はありません。両側板のみで保持します。共に台との接触面には防振のため、ハネナイトシートを貼りました。塗装するとカリンが鮮やかに発色し、辺材と芯材の境目、木目が明瞭に出て何とも言えない綺麗な色です。
ツィーター取付台のセンターと前後位置を決めるために、ホーン内部には基準とする面が何も無いので取付用の定規を作りました。これで左右同士もほとんど誤差なく合わせられます。最初にフルレンジ+1μFで075を接続して見たところ、フルレンジ一発よりだいぶ良い感じになりました。
次に075を外し、コンデンサーはそのままでSH1800へ繋いだら、あれ?鳴って
いるの?というくらい高域が低下してしまいました。075、やっぱり強烈です。
フルレンジとは言え、約2mものカールホーンを通った音はほぼ低音のみに
近く、075を繋いでも中抜けした音です。コンデンサーを倍の2μFにしたら
かなり良くなり、中音不足は否めませんが、結構まともに聴けるようになり
ました。ほとんど同軸上のユニット配置なので定位は抜群です。
2014/4/5
・・・さて、次は・・・
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