ミッドバス

低域用エンクロージャー

ユニットは10inか12inか、構造はとずっと考えていたミッドバスですが、昨年末にJBL D131の新品が手に入るという奇跡的な事が起こった事で方向性が決まりました。、箱の構造は低域エンクロージャーと同じ準密閉で、材はトドマツ系の集成材で造り、突板で仕上げる予定です。悩んだのがD131の取付けで、正面からでも取付け出来ない事はありませんが、バッフル開口部にかなり複雑な加工が必要になります。フレームの構造から考えるとリアマウントが前提のようですが、そうすると集成材のバッフル開口部が見えてしまうので、見た目が良くありません。化粧代りに無垢材を削り出してワンポイントにしたらどうだろう?と考えました。色の濃い部分が無垢材です。うまく納まらなければ別の方法を考えます。

W:910 L:530 H:480 外寸容積:231L 内容積:168L
概算重量:35kg

2017/4/28
板材はこれまでと同じ合板で造るつもりでしたが、良い物が見つかりませんでした。低域エンクロージャーで使った樺合板は纏まった数量でないと作ってもらえません。構造用合板だと突板を貼るとは言え、それなりの仕上り面が必要ですし、歪みも心配です。厚みが無ければ修整しながら組立てられますが、30mmもの厚みの合板が歪んだら修整は無理です。ホームセンターを巡り、何か良い材は無いかと探していたら、この集成材が目に止まりました。トドマツかホワイトウッドと思われます。ミッドバス用なので低域の箱ほどの強度は必要ありませんし、見れば無節で長尺方向の反りも無かったので購入してきました。厚さ30mm、幅500mm、長さ4200mmが二枚と2100mmが一枚です。

使用寸法に裁断して組立て中です。集成材とは言え、やはり若干の歪みがあります。驚く程の加工性の良さで、たったの二日で裁断と組立てまで出来ましたが、テーパー加工、R加工、無垢材の削り出し、その他時間が掛るのはこれからです。
大まかな加工が終了しました。無垢材で造る予定のユニット取付バッフルは突板を貼ってからでないと製作に掛れませんし、突板やインシュレーター、裏板取付用の低頭ボルト、鬼目ナットは連休を挟んでの注文になってしまったのでまだ届いておらず、これ以上製作を進められません。
各入角には45mm角の補強材を入れました。ユニット取付バッフルは裏側からビス固定するつもりですが、開口部左側に余裕が無いのでアングルチャックで対応出来なければ、栓を造って横から叩き込み固定するしかありません。箱の組立てから一週間経ちましたが、天・底板と側版の継ぎ目は乾燥で部分的に段差が出来始めているので、部材が届くまで材の良い養生期間になりそうです。
2017/5/5
中域ー低域 前後位相調整台製作
現状のままミッドバスを設置するとA図のようになりますが、中域ー低域の前後位相を考えるとB図のようにミッドバスとホーンは後退させた設置になります。昨年YAPさんに測定して戴いた時に、ウーハーがホーンより500mm前と言われてその後、可能な範囲で前に出したところ、音の纏まりがだいぶ良くなりました。今回のミッドバス製作に伴い、ウーハーを更に前に設置する為に赤色の部分の台を造らなければなりません。低域の箱側に台の天板を金具で固定し、横方向の強度を出すために左右同士を接合、アジャスター台を造って高さも調整できるようにします。部材が届くまでの合間にこの台を先に製作しておきましょう。
C図上は上部から、下は前後側から見た図です。
この台の要所部分です。左右接合桟を支柱と噛み合わせ、横方向の強度を確保します。
2017/5/11
アジャスター台を削り出し、8mmのボルトを固定しました。最大90mmの範囲で高さを調整できます。支柱は台の中へ30mm入るので、通常の調整でボルトが見えるような事はありません。
完成です。天板はケヤキ、支柱はヒバ、接合桟はスギ、アジャスター台はキハダと豪華絢爛?何とも節操の無い組合せです。倉庫にある有り合わせの材料で間に合わせました。
仕事から帰ったら突板が届いてました。タモ板目ですが、全面に玉杢の出た素晴らしい杢目です。突板屋さんに良い杢目の物は無いかと相談して今回のために製作して戴きました。
板が痩せて段差が出た部分です。継ぎ目付近に光が見えます。0.1mm程度ですが突板を貼る直前にカンナで削って修正します。
2017/5/21
各部の仕上げが終わり、フロントバッフル周囲へスリットを入れ、突板を貼る前に黒の染色剤で着色しておきます、
突板は木目の部位によって縮み具合の激しい部分がありましたが、比較的貼り易い突板です。
貼り上がりました。通常ならこれで箱の加工は終了ですが、この先が大変です。
ユニット取付用バッフルを加工します。厚さ100mm、直径420mmの仕上り材が取れるケヤキの大盤から切り出しました。
270φで中心部をくり抜き、3/4程度までとにかくガンガン削っていきます。
残り1/4くらいからは定規で確認しながら慎重に削らなければなりません。開口角は約110°、210Rで削ります。ホーンとしての効果を持たせないように開き角を大きくしました。
削り出し終了。切り出した材の重量が10kgで仕上りは2kg、残り8kgはゴミとなりました。
箱へ取付ける前にユニットの取付け墨を罫書き下穴を開けておきます。
バッフルへ固定。これで全ての加工が終了しました。残るは塗装と吸音材の貼り付けで、あと一息です。
試聴
4way+スーパーツィーターのスピーカーシステムが取りあえず完成しました。いつもお世話になっているYAPさんから再びパワーアンプをお借りして長らく3wayで使っていたチャンデバからブランクボードを抜き、160〜800Hzのミッドバス用のフィルターを差し込みます。最初は纏まりが悪く、ボーカルの輪郭が甘く感じられましたが、わずかな調整でこれまでとはだいぶ雰囲気の違う音が出ているいるのが分かります。これまでウーハーに800Hzまで受け持たせていたのが160Hzで切離されたためか、中域のみならず全体に音が引き締まり、各帯域の音がより明瞭に聴こえるようになりました。ミッドバス追加ではあまり関係無いはずの鈴やシンバルの奥行き感までもが増しています。これは各ユニットの前後位相を変えた事も少なからず関係しているかも知れません。そして肝心の中域ですが、調整には375とのバランスが難しい面もありますが、より濃い、充実した音になりました。最初にフルレンジ状態で聴いた時にも感じられた事ですが、どうやらユニット取付バッフルがホーンとして働いているようです。取付けの絡みも考慮しながら、ホーン効果を持たせないように出来る範囲で開き角を大きくしたつもりですが、現状では変なクセも感じられず、意図した考えとは逆に良い方向にホーン効果が出たようです。

最初からまともな音が出て来たとは言え、ユニットや箱のエージングはこれからですし、各スピーカーも簡易的に設置したものなので、これから少しずつ音を追い込んで行かなければなりませんが、ミッドバスの追加は上々の結果となりました。
2017/5/27
塗装・最終仕上げ・設置
5月とは思えない記録的な暑さと乾燥が相まって思いのほか塗装が進みました。2日間で合計6回、3分艶仕上げです。
吸音材のニードルフェルトを貼りつけます。
インシュレーターには市販のアジャスターを使います。設置条件からあまり高さの調整は必要無いと思われるので1mm〜20mmの調整範囲にしました。
ユニット、裏板を取付けて完成です。光の加減でうまく表現出来ませんが、中央の画像が一番現物の色合いに近いと思います。まずはこの状態でフィルターを通さずフルレンジで鳴らして見ます。約50年の眠りから目覚めるユニットと、出来たばかりの箱でエージングには数か月を要するだろうと思っていましたが、最初から拍子抜けする程まともな音が出て来ました。低域エンクロージャーの時とはえらい違いです。D131はワイドレンジとは言え30cmのユニットとは思えない、まるでフルレンジのような音で鳴ります。欲を言わなければ高域をほんの少し追加するだけで、十分にメインシステムとして通用しそうです。130系の反応やキレの良い音、中域の充実した音をそのまま凝縮したような感じです。改めてこのユニットにして良かったと思いました。低音も出ないと聞いていましたが、特に重低音が必要な場合を除けば日常的には十分と思われるくらい出ています。
オフセット設置用の台を低域エンクロージャーの裏板取付ボルトを利用して金具で固定します。金具は程良い物が無かったので、平アングルを90°に曲げて加工しました。
金具は両端へ一個ずつしか使っていないのでぐらつくかと思いましたが、横方向へ応力を掛けてもびくともせず、十分な強度が出ました。
横から見た設置状況です。ウーハーからD131を500mm、ホーン開口部まで450mmオフセットしました。
完成概容
W:910 L:530 H:480 重量:36kg(箱のみ)
総重量:42kg 外寸容積:231L 内容積:168L
使用材:松系集成材 t:30mm
タモ玉杢突板・ウレタン塗装仕上げ
仮設置に使っていたホーン用の台が無くなりミッドバスの箱が加わると全体的な雰囲気も大きく変わりました。
今回、改めて思ったのですが、優雅でダイナミック、明瞭な木目、独特で鮮やかな色合い、ケヤキは美しいです。
調整
設置した時は側面、背面の壁からの距離と内振り角を左右均等にしながらも適当に合わせただけでした。数日間聴いて大まかに感じが掴めたので調整して見ます。最初に感じた事はボーカルの輪郭が甘く、太く、口が大い事です。これは各帯域のレベル調整でだいぶ改善されましたが、まだ輪郭が甘いので壁からの離隔、内振り角、ホーン上下角、ツィーター上下角をミッドバス追加前のデータを元に全てやり直しました。

このスピーカーシステムの総重量は370kg、片ch185kgです。それだけの重量物を、壁からの離隔や微妙な内振り角度の調整はどうするのかと思われるかも知れませんが、インシュレーター設置面に潤滑用のシリコンを塗ってあるので片手で動かせます。1mmの調整ですらそれほど難しいものではありませんので、最初は音を確認しながら大きく粗調整して、最終的にミリ単位で離隔と角度を調整しました。次にホーンの上下角ですが、こちらの方が大変です。31kgの物を片手だけで支えつつ、支持台からボルトを脱着しなければなりません。最後はツィーターの上下角ですが、これは大きく変更する必要が無いので、ホーン角度変更に伴った前データ通り075を95°、SH1800を95.5°で合わせました。

ほんの少し動かしては聴きながらの調整なので、ここまでで費やした時間は3時間弱です。この調整で音は大きく変わりました。もつれた4色の糸がほどけて個別の各色の糸が見えてきたような、とでも申しましょうか(笑) 3wayとは全く別次元の音になりました。しばらくこれで聴いて見ますが、あの「理想の定位」はあの後、どうやっても出てこなくなりました。スピーカーの間に人が立ったような定位・・・・・今後はあの幻の定位を追います。
2017/5/30
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