2017/2/8
昨年から計画を進めていた2台目のパワーアンプ・6C33C-Bを製作します。
構成は12AU7−6FQ7−6C33CB、ヒーターは全て交流点火で終段の6C33C-Bは時々調整が必要になりますが、固定バイアスです。6C33C-Bは2分程のヒータープレヒートが必要なのでタイマーを二段に入れ、プレヒート終了後に一段目のタイマーでB電源が立ち上がり、その後にスピーカー保護解除用の二段目タイマーを動作させるようにしました。これはB電源整流が半導体なので、電源が立ち上った瞬間のショックノイズを防ぐためです。この球は安定した音になるまで数時間掛る、ノイズが出る、球の特性が揃わない、プレヒートが必要、固定バイアスですらシャーシが60℃以上の温度になる等々、相当な曲者球?のようですが、バランスが良く深みのあるその音を聴いた時、次作パワーアンプはこれで作りたいと考えていました。球の発熱は相当なもののようですが、対策としてソケット直下にDCファンを取付け、切換スイッチで全回転−OFF−1/2回転で運転できるようにします。
年初から部品を注文し始めています。6C33C-B、この無骨さが良いです。この球に見合った意匠をと考えています。
CADでいろいろと配置を考えましたが、部品が揃い始めたので現物合わせで何種かやって見ました。左はオーソドックスな電源部と増幅部を左右に分けた配置で配線も楽です。右は電源部を中央に、増幅部を左右へと分けた配置ですが、あまり見かけないやり方ですね。ノイズの心配はありますがアンプ全体の重厚さを出すには右の配置の方が良いように思います。
意匠と回路図です。考えに考えた挙句の意匠はこのようになりました。金属板シャーシはプリと同じ真鍮板3mm厚です。ウッドパネルの材種は杉の根杢か瘤杢材を使いたかったのですが、60mm以上の厚板材を探してはいるものの、なかなか見つけられません。製作が可能か不可能かは別として黒檀を使った場合を考えて描いて見ました。製作が困難と思われる場所は上図の天板前面パネルと下図の正面パネルです。特に正面パネルは上下を斜めに曲面で内側へ湾曲させ、前面は複合曲線で比翼状に曲面を付けています。柔らかい材ならまだしも、気乾比重1.0以上の硬さの黒檀でこのような加工が私に出来るでしょうか(笑) 思い付くままに描いたデザインなので、やって見て困難な場合は材種か意匠を変更します。
正面パネルデザインを考えている時にふと、目の前にあったTVのリモコンが目に止ったのですが縦横比がちょうど正面パネル程度だなと思い、裏面を見たら目に触れにくい場所であるにも係わらず、なかなか凝った良いラインを描いています。デザインのヒントは思わぬ所にありました。
騒音と風量を確認しながら定数を変えつつ、冷却ファンの回転確認中です。全回転では騒音が気になり、1/2では風量が弱すぎるようです。3/5くらいで良いかも知れません。
2017/3/3
シャーシ加工
6C33C-Bソケット取付板です。冷却ファンから取り込んだ空気を放射するため、7.5φと5.5φの穴を合計36個開け、最後にソケット用の39φの穴を中心へ開けます。
底板の加工です。冷却ファンは底板へ取付けるので、取り付け穴と給気口用の77φの穴を開け、脱脂後すぐにサビ止め塗料で塗装しました。
各種の穴開け、バリ、面取りが終わりました。この後、この真鍮板に合わせてウッドパネルを製作した後にバフ掛け、塗装します。設計上、真鍮板の寸法が決まるのが一番最後なりますが、これが無いとウッドパネルの製作が出来ません。間違いなくこちらの注文通りの寸法で加工してくれれば問題ありませんが、曲げ加工で微妙な誤差、例えばプレス加工の時、加工材配置の水平直角度が僅かに0.5mm狂っただけで天板面での対角寸法は大きく変わってしまいます。今回も1mmの誤差が出ていました。幸い、ウッドパネル側で製作時に吸収出来る誤差ですが、先にウッドパネルを造っていたら納まらなくなりかねないところでした。
下穴を開ける時にポンチ穴一つ分ずれてもビスがきつくなったり、開口穴の中心がずれたりしかねないので、天板正面からも確認します。多少のずれはビス穴を一回り大きくすれば修正できますが、修正するほどのずれは無かったので、これでシャーシ加工は終了です。
6C33C-Bソケット取付板はバイアス調整ボリューム、チェックピン、端子台などの他の部品の絡みが多い場所です。バイアス調整ボリュームはシャーシ天板上からドライバーで調整するので、仮付けして問題が無いか確認中です。ボリュームシャフトを貫通させて天板上へ取付けるカレイナットとボリューム取付ボルトとの突合せギャップは設計上0.5mmでしたが、気持ち良く寸法通りに納まりました。
ウッドパネル製作
2017/3/5
一山で購入した材の中に入っていた黒檀の床柱です。製品として加工されてからだけでも30年は経っている材です。その硬さと杢目の大人しさから使う事は無いだろうと思ってましたが、今回の意匠に映えるのではと考えて、早速使う事にしました。私の手に負えるものかどうか、問題はその硬さです。
使用寸法に裁断しました。これまでも堅い木材ばかり扱っていたせいか堅いのは間違いありませんが、想像していた程ではありません。この色と汚れのせいで裁断前の木口を見ても木目がはっきりと見えず、芯去り材だとばかり思っていたんですが、裁断したらしっかりと芯が入っていました。しかも裁断後数日でこのようなヒビが入る始末です。
各使用寸法に製材していきますが、さすがに毎秒0.5mm程度しか切れません。短気を起こして早く切ろうと力を入れようものなら煙が出てきます。
内部には亀裂が多数入っていました。光の反射で木肌が白っぽく見えますが、色が色なので、補修してもあまり目立たないかと思います。
芯去り材で木目も大人しい良材だと思ってましたが、いざ加工して見ると芯持ち材でバンドソーから煙を上げ、手押しかんなではどの方向からでも逆目が立ち、角は欠けやすく、トゲも刺さりやすい材でしたが、木取り終了です。
天板をジグソーで切り出しました。今回のために円切り木工刃を新たに三種購入し、これならと思える刃で切ったところ、焼けも入らす、綺麗に切れました。ジグソーでこのような堅い木を快適に切れるとは、刃物と工具の違いは大きいです。
正面パネルです。今回の加工の難所です。難しいのは上下の曲面加工で、一定の曲面で削るのでは無く、中央から両端へ向けてねじりながら削らなければなりません。そうしないと正面も複雑な複合曲線のため、正面から見た場合、綺麗な曲線になりません。
大まかに加工が終了したので仮組みして見ました。正面からサイドパネルへの仕上げ曲面加工は組み上げないと出来ません。少しでもヒビの入りを抑えるために、とにかく早く組み上げて塗装したいところです。
ウッドパネルの直角を正確に出し、真鍮板を乗せると右上はぴったりで左上は1mm程の隙間が出ているのが分かるでしょうか?真鍮板曲げ加工時の僅かな誤差はこういう所で現れます。個別の辺寸法は正方形でも平行四辺形でも同じに出ますが、対角が変わってきます。この歪みを吸収するため前側よりも後ろ側で1mm幅を広く作らなければなりません。
2017/3/10
組み上げて最後の仕上げ加工を終え、塗装一回目です。やはり加工中も数ヶ所に小さなヒビが増えましたが、こうなれば木も落ち着くでしょう。予想以上だったのが黒檀の重さで、ウッドパネルだけで6kgの重量があります。これに真鍮板と鉄製の底板を加えるとシャーシだけで11kgになり、完成重量は27kgくらいになるかもしれません。
塗装の合間に真鍮板の仕上げをします。#400〜#1000のディスクペーパーで小さなキズを消して行き、最後はコンパウンドで磨き上げました。
あまりやりたくは無い真鍮板の保護塗装ですが、放っておけばくすんでしまうのでやらざるを得ません。どういう訳か木の塗装ではほとんど付かないミストが、金属板だとどうしても表面に乗ってしまいます。
ストップシーラーx1、サンディングシーラーx3、仕上げ艶出しx2の合計6回目の塗装を終えた直後の画像です。触れるようになってからチェックして不満が無ければこれで塗装終了です。気温20℃/48時間で塗膜硬度に達する塗料なので、このまま3〜4日間乾燥させます。
中央から両サイドへ向けて表面積を小さくしつつ、角度を深くしながら削りました。光の明暗で角度の違いが分かるかと思います。加工に苦労した部分ですが、手間を掛けただけ深みのある仕上がりになります。正面パネル中央部の出しろはサイドパネル先端より7mm多く出しました。設計時は12mmでしたが、仕上げて見ると出過ぎのように感じたので減らしたのですが、上下を削って表面積が少なくなるので両端より出しろを多く取らないとバランスが悪くなります。
シャーシが完成しました。ここまでが長い道のりで、私としてはこれで90%完成です。
各パーツを取付けていきます。ネジの総使用数、約100本ともなるとこれが結構時間が掛り、組立だけで1日を要しました。
2017/3/24
ファンは試運転の時と組付けた状態での風量や騒音に変化があれば定数を変える必要があると考えていたので、配線初期に確認しました。どちらも問題無く、通風穴からは十分と思われる風量が吹き出します。
6C33C-Bは独立した3.3Aのヒーターが2本ありますが、ヒーターはシングルで使用した方が良いと言う話を聞いた事があります。後で簡単に変更出来るようにカプラーで接続しました。
初段、ドライバー段付近へ終段までの全てのCR類を集中させ、電源トランスからの離隔を取ったため、思ったよりも窮屈でしたが、配線終了です。
完 成
バイアス-60V、プレート電流180mAで測定して見ました。クリップ直前での出力は11Wで100dBクラスのスピーカーを駆動するには有り余るパワーです。異常発振も無く交流点火によるハムノイズもスピーカーに耳を近づけなければ聞こえない程度なので一安心です。1Wと11W出力時の周波数特性をグラフ化して見たものの、ほとんど変化はありません。両端の落ち込みが少し早いかな程度で、他で公表されている6C33C-Bの特性とほとんど変わりありませんでした。
気になっていた球の温度は手をかざすとかなり熱く、ファンOFFで207℃、天ぷらを揚げるにしても熱いくらいです(笑) ファンを回すとぐんぐん温度が下がり始め最終的に159℃になり、50℃近く下がりました。ファンの効果は絶大で風量も関係無く、強弱を切り替えても温度は一定です。騒音は1m程度離れた状態で強回転では聞こえますが、弱回転だとほとんど聞き取れない程度でした。
完成概容 W:530 L:402 H:193 重量:27kg
完成しました。意匠を考えている時に重厚感を出したいと思ってましたが、イメージ通りに出来上がりました。ウッドパネルの材料となった床柱はいかにも本黒檀(真黒:まぐろ)のようでしたが、削って見たら塗料へ黒の顔料を混ぜた着色塗装でした。しかも木口まで丁寧に塗装する念の入りようで、どおりで木目がはっきりしなかった訳です。黒檀と銘打つ木は数種類あるようで一般には黒檀と言うと本黒檀と縞黒檀が連想されます。この材はどの種なのか私には分かりませんが、カキノキ科に見られる硬い、割れやすい、ヒビが入り易い、ゆえに加工困難と言った共通性はありますし、今は加工後間もないので黒味掛った茶色ですが、年月を重ねてどういう色に変化するのか楽しみです。ちなみに木片を水へ入れたら沈みました。
それにしても完成重量が27kgにもなってしまったので、ひっくり返したり、移動する時はかなり重いです。このアンプのB電源は10−160Vタップから供給するという禁じ手を使ってます。0Vタップに接続しないと二次側でショートしても一次側ヒューズが飛ばないため、二次巻線側へ6C33C-B定格二本分の0.6Aのヒューズを入れたのですが、ホルダーの接触不良(音は出るのに測定出来ない)や測定中、低周波入力切換え時にヒューズを二回飛ばしてしまい、その度にひっくり返さなければならなかったので大変でした。
試聴
この球はどれくらいのエージングでまともな音が出てくるのか分かりませんが20時間ほどCDをリピート再生してから聴いて見ました。まず、8cmフルレンジでは特に不満な部分は無く、上から下までそれなりに良く出ています。このアンプは低域用として使うつもりだったので、ウーハーへ繋いで聴いてみたところ、太く重い低音が出てきました。太いのは良いですが・・・重いです。音がスピーカーから離れないと言いますか、抜けが悪く出来損ないの密閉箱で聴いているような低音です。他の部品はもちろん、球も全て新品なので後はエージングの進行に期待しましょう。長所としては左右チャンネルの分離が良く感じられ、定位が向上しました。これは原図には無かったデカップリング回路を加えた事と、増幅部を左右両端へ離した配置が功を奏し、クロストークが改善されたの
では無いかと考えています。まだ音の出し始めなので、今後の数十時間、百時間を超えるエージングでどのように音が変化して行くのか楽しみです。
50時間ほど経過した時点でだいぶ音の出方が変わって来ました。重さが軽減され、抜けも良くなって来た感じです。澤田勝成の三味線はこれまでに無い程のまろやかさが加わり、ソニー・ロリンズのサックスの太さ、鼓童の太鼓の迫力も出て来ました。しかし、まだエッジが甘く音が前に出切れていないようで、更なるエージング後の音に期待です。発熱は多く、朝から10時間以上通電している事もあり、このアンプ一台で部屋がほのかに暖かく感じます。多少肌寒くはありますが暖房も入れようとは思わない程でした。
ウーハーボックス改造中はCDをリピート再生してエージングを進め、150時間以上経過しています。さすがに音が馴染み始め、重さや抜けの悪さは無くなり、十分に音質を楽しめるようになってきました。低音の量感は十分で11Wものパワーがあるので最初はずいぶんとボリュームを絞ったつもりですが、それでも更に絞り込む必要がありました。高・中域にも繋いで鳴らして見たところ、6C33C-Bの無骨な外観からは予想外の繊細で深みのある音を出します。低域で使うつもりだったこのアンプは、高・低域では気にならないハムノイズが中域で若干大きめに感じるものの、どの帯域で鳴らしても楽しめるアンプとして無事、完成しました。
完成当初、ウッドパネルの継ぎ目は指で注意深く観察しても全く段差を感じられない程、平らに仕上げたのですが、残念な事に天板とサイドパネルの間に隙間が出来始め、塗膜にヒビが入ってしまいました。材料には背割れまで入れてあり、数十年経った材でも塗装の目留め程度では木の動きを抑えきれないと言う、私にとっては貴重な良い経験になりました。この隙間がどの程度まで広がるのか見もの?ですが、落ち着いた状態を見て修理か造り直しも考えなければならないでしょう。無垢材の見極めは難しいですね。
2017/4/9
無念・・・ウッドパネル完成から一ヶ月余り、木の動きは未だに治まりません。
最初に亀裂を見つけた天板ーサイドパネルの継ぎ目です。1/4程度だったのが半分以上塗膜へヒビが入りました。左側も同じです。
左側の天板ーサイドパネルー正面パネル部分の継ぎ目は光を当てると縮んだ部分が良く分かります。
右・正面パネルーサイドパネル部分の狂いは下側10mmくらいから始まって日が経つにつれ上部まで達してしまいました。
ここまで明確に狂ったのは一番最初にウッドパネルを造った6B4G、71Aで使った桜材以来です。最初に塗膜のヒビを見つけた時は僅かでしたので、そのまま落ち着いてくれれば塗装を全て剥がして補修するつもりでしたが狂いは現在進行形で進んでいます。見極めを誤ると、30時間かけて製作した物が無駄になり、こうなると諦めるか造り直すしかありません。
悔しいので性懲りも無く再び同じ黒檀を製材しました(笑) 材種としては一級材に上げられる物なので、さすがに杢目も色合いも気に入ってますし、このアンプに良くマッチしていると思います。仕上り寸法から1〜2割大き目に製材しました。どの程度の期間が必要なのか分かりませんが、このまま乾燥させます。あるいは落ち着いたと思っても、内部まで乾燥していなければ仕上げ寸法に加工し始めたらまた動きだすかも知れません。・・・いろいろと難しいです。
2017/4/15
ソケットはルーペで確認できる程、表面の荒れや汚れが見えます。真空管のピン径は1.45mmなので1.5mmのキリで軽くさらおうとしたら、何の抵抗も無く入る場所が一か所(グリット)、軽く接触する程度の所が二か所ありました。恐らくグリットピンは辛うじて接触している程度だったのでしょう。ノイズの原因はこれです。このソケットは冷却ファンからの風が通り易いように表面積の小さい物をと探して購入したのですが、高価な割には作りがお粗末で、仕上の荒さや清掃しても取れない油汚れのようなものは初期から付いていて、一見してあの国の製品と分かります。製作時にもっと良く点検しておくべきでした。ピンとの接触部は奥まった確認し難い部分にありますが、かしめ直してキリでさらい、接触を向上させます。
2017/6/1
6C33C-Bはノイズが出ると聞いていたので、時々出る「ガサッ、ボソッ」と言った音は一瞬でもあり、あまり気にしていませんでしたが、最近はブーンと言ったハムノイズまで出るようになりました。シャーシを手で軽くコンと叩いてやると治まりますが、あまり気持ちの良いものではありませんので、ソケット廻りを点検して見ます。真空管のピンはルーペで覗いても表面はそれほど荒くありませんが、#400のペーパーを当てると最初はガサガサした手応えがありますが、数回こすると抵抗か無くなり、明らかに表面が滑らかになって行く手触りが伝わってきます。
ノイズ対策 シングルヒーター化
テフロンソケット表面の穴は若干溶け気味で、茶色に変色しています。真空管のピンへ接点復活剤を塗りソケットへ差し込むと、かなりがっちりとした手応えで差し込めるようになりました。これで数時間鳴らして見ましたが、ノイズは全く出てきません。こうなると6C33C-Bからノイズが出るのでは無く、多くの場合はソケットとの接触不良が原因なのではないでしょうか。
音も落ち着いたので、裏蓋を開けたついでにシングルヒーターを試して見る事にしました。ダブルヒーターの片側はカプラーで接続してあるので簡単に切り離し出来ます。現在このアンプはミッドバスへ繋いでいます。中低域のみでの感想なので全域で再生した場合はまた違うかも知れませんが、音を聴いて見ると下膨れ気味に感じた中低域が引き締まりました。気のせいかな?とも思いましたが、4wayにする前から出なくなってしまっていたあの「理想の定位」が再びちらほらと現れ始めたので勘違いでは無いと思います。残留ノイズ、最大出力も一割程度低下しただけで大きな変化はありません。6.6Aのヒーターが半分になったので、さすがに球の温度は低下しただろうと思いましたが、測定して見ると145℃と、こちらも14℃しか下がっていませんでした。考えて見れば元は軍用真空管、ヒーターが断線すれば機器が機能しなくなるのでダブルにしたと考えれば、片側のヒーターを点灯しなくても動作に大きな変化は無いのでしょう。となればオーディオ的にはダブルで点灯する意味は無く、音的にも現状ではシングル点灯の方が好ましい結果である事からも、むしろシングルヒーターで使用した方が、この球の問題点である特性のバラつきなどから回避される可能性も考えられます。
ウッドパネル修理
再製作しようと製材しておいた黒檀は大きな亀裂が入ってしまい使えないので、現在のウッドパネルを修理する事にしました。狂いはほぼ収まったように見えますが、まだ動く可能性も無い訳ではありません。継ぎ目は左右ほぼ同じように隙間と段差が出て、爪が引っ掛かる程です。塗装を剥がし、段差を削り、隙間を目立たないように補修します。
2017/10/22
修理の間、何も聴けないのも寂しいので、板を挟んで空間を作り設置しました。まず、ベルトサンダーの定盤とベルトを水平にして上面の塗装から剥がそうと数回通して見たら、中央の画像のように両端しか剥がれていません。え?と思いましたが、これは天板パネルの収縮に伴い、サイドパネルが引っ張られたものと考えられます。そう言えば、前面パネルとサイドパネルの継ぎ目に入った塗膜のヒビは下の方から入り始めていました。曲面部分はベルトサンダー、平らな部分はオービタルサンダーで塗装を落とし、段差を無くしていきます。
最後の仕上げ塗装が終わり、写真を撮ろうとモニターを見ていたら何やら動くモノが・・・何とカメムシがぬかるみに嵌まったような重い足取りで塗り上げたばかりの塗面を歩いているではありませんか!(画像中央右下) ぎゃー!この狼藉者!!何て事を!!! 触覚をつまんで引っ張り上げ、即刻斬首の刑に処しましたが、幸い小さな足先で塗った直後だったので事無きを得ましたが、小さな羽虫とかが貼り付くと手の施しようが無く、塗り直すしかありません。過去に一度そういう事がありました。完成直後のような訳にはいきませんが、一番目立つ天板とサイドパネルの隙間は、ほとんど分からない程度まで補修出来ました。
正面パネルとサイドパネルもうまくいきました。組み上げて修理完了です。どうかこのまま落ち着いてくれますように・・・・・
ラック棚板の造り直しでパワーアンプを全て下したついでに6C33C-Bを小改造しました。変更点は入力ケーブルを単芯シールドから2芯シールドへ、それに伴い入出力アースの変更、C電源を半波整流からブリッジ整流へと変えたところ、残留ノイズが少し下がりました。残留ノイズは0.4mvですが、どういう訳かリスニング位置でも微かに聞こえます。残るはヒーターの交流点火しか考えられないので、直流点火も試して見ましたが、6.3V/6.6Aのタップからブリッジ整流してDC3.3Aを取り出そうとすると5Vまで下がってしまいます。容量的には大丈夫な筈ですが、こうなると直流点火するには専用のトランスが必要になります。
2018/11/11
これまで造ったアンプの聴き比べをした事が無かったので、今回は良い機会なので比較試聴して見ました。それぞれ特徴があり、MOS・FETは低域の駆動力、6C33C-Bは繊細感、6B4Gは立体感、定位が優位と言った感じですが、その中でも2A3が飛び抜けて完成度の高い音に聴こえました。中域の濃さ、前後左右への広がり、立体感、ボーカルの口の輪郭、全体的にシルキーで滑らかな音等々・・・これが電源部に余裕を持たせ、全段独立電源と安定化電源にした結果だとすれば、他のアンプも全て造り直したくなりますが、シャーシからの根本的な設計から始めなければなりませんので、簡単には行かないでしょう。
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仕上予定 W:530 L:402 H:193 推定重量:23kg
2017/3/22
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